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敏感肌において感覚刺激を受けやすいことの原因の一つとして,角層バリア機能の低下により外来 刺激物質が皮膚に浸透しやすくなっていることが考えられている。しかしながら,角層バリア機能が どのように低下しているのかについての詳細は明らかになっていない。そこで,ドライアイの診断法 として汎用されているフルオレセイン染色法を皮膚に応用して,非侵襲的手法による角層バリア機能 のビジュアル化を試みた。検討の結果,皮膚にフルオレセインを塗布して蛍光を観察することによ り,角層深部への水溶性物質の浸透が確認できた。また蛍光強度を定量したところ,経皮水分蒸散量 との間に相関が確認された。これによりフルオレセイン染色像が角層バリア機能を反映していること が明らかになり,角層バリア機能のビジュアル化が実現できた。また,角層バリア機能がどの領域で 低下しているかを観察することが可能になった。実際にこの方法を用いて敏感肌の頬部皮膚の観察を 行ったところ,毛穴周辺領域での角層バリア機能の低下が示唆された。さらにはスキンケア化粧品の 連用による角層バリア機能向上のビジュアル化に活用しうることが示された。

 

 

知覚過敏肌の主な原因物質である水溶性物質の挙動を モニターするためのフルオレセインナトリウムの塗布と 蛍光マイクロスコープを用いることにより,in vivo 非侵 襲の手法で水溶性物質の角層内部への浸透状態を観察 し,角層バリア機能をビジュアル化することができた。 この手法を用いることにより,ヒト皮膚の微小領域での 角層バリア機能を非侵襲で観察することができる。敏感 肌の頬部皮膚の観察に用いたところ,毛穴周囲領域で角 層バリア機能が低下していることが示唆された。

詳しく知るには・・・

https://www.jstage.jst.go.jp/article/sccj/47/4/47_285/_pdf